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  • 執筆者の写真元 吉野

第2次対馬市環境基本計画策定業務支援について


令和4年度の一番大きな仕事は、第2次対馬市環境基本計画策定に係る支援業務でした。


計画本体は、対馬市のオフィシャルウェブサイトで公開しています。


私たちの強みは、対馬で生まれ、育ちで、対馬で自分たちの暮らしを良くするために活動を続ける"土着型コンサル会社"であることです。


対馬に住んでいるので、行政職員や関係者との打合せや調査等に旅費が入りません。いつでも会って打合せができます。10年間の活動を通じて、行政職員の皆さんとの信頼関係はバッチリです。仕事をいただくことで、従業員を雇用できますし、売上を納税という形で一部お戻しすることもできます。


島外からの旅費や移動にかかるエネルギーは必要最低限に抑えられます。そして、対馬に10年も住んでいるので、対馬の環境問題、社会・経済的な問題に関する現状や、活動の実態、キーマン等も良くわかっています。


策定にあたっては、私たちでは足りていない専門性などを補うべく、12名の対馬での実践者・専門家に仲間に加わっていただき、各分野(森づくり、獣害対策、農業、漁業、磯焼け対策、漂流・漂着ごみ、生ごみの循環、エネルギー、ESD、エコツーリズム、ガバナンス、グリーンインフラ)の作り込みを行いました。そういった島内外のネットワーク・パートナーシップを持っていることも私たちの強みです。


対馬の土着型コンサル会社のモデルは、他の地域でも応用ができると思っていますし、そのノウハウを伝えていき、そういったコンサル会社を増やして行きたいと思っています。興味がある方がいらしたらご相談ください。


さて、肝心の中身ですが、対馬市の第一次環境基本計画を踏まえて、社会情勢や国・県の動向、市民ニーズ等を考慮し、新たな施策として取り入れるものは追加し、現在の施策に沿ったかたちで継続するものは更新し、第2次計画の目標となる新たな計画を策定することが目的です。


この計画は、「対馬市環境基本条例」に基づき策定されるもので、最上位計画である「対馬市総合計画」やその他の各種計画との整合を図り、対馬市担当部署や市民・事業者・専門家へのヒアリングで多様な意見を取り込み、計画を作り込んでいきました。


少し具体的な内容を紹介させてください。



包括的な「地域循環共生圏」の考え方を導入する


 第2次対馬市環境基本計画では、第1次計画の改善方針として、「総花的にならず優先的に取り組むべき課題や施策に絞り込むこと」を掲げました。すなわち、包括的で根源的な課題に対する考え方を示すこと、そして、限られた予算や人員の中で、費用対効果の高い施策を示すことです。


 2018年4月に閣議決定した国の第五次環境基本計画では、国連の「持続可能な開発目標」や「パリ協定」といった世界を巻き込む国際的な潮流や複雑化する環境・社会・経済の課題を踏まえ、複数の課題の統合的な解決というSDGsの考え方も活用した「地域循環共生圏」を提唱しました。


 「地域循環共生圏」とは、各地域が美しい自然景観等の地域資源を最大限活用しながら自立・分散型の社会を形成しつつ、地域の特性に応じて資源を補完し支え合うことにより、地域の活力が最大限に発揮されることを目指す考え方です。


 「地域循環共生圏」は、農山漁村も都市も活かし、地域が自立し、支え合うことで、環境・社会・経済の活力を最大限に発揮する構想であり、その創造によりSDGsやSociety5.0の実現にもつながるものです。まさに、対馬市総合計画のビジョンである「自立と循環の宝の島」の実現に向けて、包括的で具体的な考え方に落とし込んだ考え方です。


 対馬市においても、「地域循環共生圏の創造による持続可能な地域づくり」を通じて、環境で対馬を元気にするとともに、持続可能な地域循環・共生社会を構築していきます。


国が進める地域循環共生圏の考え方を踏まえて、 本計画の合言葉を考え、行政職員や市民と共有するためのイメージを作りました。

森・川・里・海・まち・ひと・しごとの好循環 と豊かな共生社会を次世代に引き継ごう!


 自然資本が豊かになれば、社会・経済活動の好循環が生まれて、より豊かな社会(地域循環・共生社会)が実現します。


 自然資本を高める仕組みをつくるために、森・川・里・海・まちの連環を意識した各施策の展開が有効と考えます。加えて、市民や事業者等の意識改革と行動変容の仕組みをつくるために、各施策を展開する担い手を育てる仕組みをつくることが重要です。その結果として、対馬の地域経済の活性化が加速的に生まれることが期待されます。地域経済が活性化されることにより、人材の確保や育成、予算の確保、経費削減・売上向上など、環境・社会・経済の好循環が生まれ、地域循環・共生社会の実現に近づきます。



 この考えに従って、本計画では、環境・社会・経済の3層構造で優先的に取り組むべき施策を整理しました。


自然資本UPの仕組みをつくる!


 森・川・里・海・まちの繋がりを再構築することで、生態系の回復力が発揮され、自然資本が高くなります。生態系の回復力を超えた社会・経済活動は持続可能ではありません。自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能で魅力あるしまづくり(グリーンインフラ)を包括的に進めていきます。


 自然資本の再生と持続可能な利用を推進するために、以下の図にある10のテーマ・課題について、優先的に取り組むべき施策を整理しています。


意識改革と行動変容の仕組みをつくる!


 本計画策定から前期5年間の進捗評価や担当課、市民や専門家へのヒアリングから対馬ビジョンに向けた根っこの課題は、環境保全をはじめとする持続可能な社会に向けた市民や事業者等の意識改革と行動変容にあると考えられます。


 本計画では、次世代を担う子どもたちにとどまらず、大人たちへのESD(Education for Sustainable Development: 持続可能な開発のための教育)の推進により、市民や事業者、行政職員などの意識改革と行動変容を促すことを重要課題として掲げます。

 

 対馬において、先進的な取組みを進めるトップランナー層は限られ、環境保全に関心のある層も一部です。無関心層を関心層に変え、ポイ捨てや不法投棄等、環境に悪影響を与える行動を取る非協力層を減らすことが重要です。現在、生ごみの分別回収に協力する世帯(トップランナーや関心層)は、14,000世帯のうち、約2,000世帯であり、全体の14%に過ぎません。


 また、2020年度に実施した総合計画に関連する市民へのアンケート調査によると、環境保全活動を含むしまづくりに資する取組みを自主的に行っている市民(トップランナーや関心層)は、全体の17%にとどまることがわかりましたこれらのデータから、市民の中でトップランナーや関心層は全体の15%程度であると考えられます。


 本計画を実行することで、前期の5年後には市民の10%がトップランナーになり、30%が関心層となり、非協力層は10%に減らすことを目標に市民が参加したくなるような施策(奨励措置)や規制・罰則の強化などを進めていきます。なお、10年後の目標値は、前期計画の終了時の実態を踏まえて改めて設定します。



地域循環・共生は、横断的・包括的な取組みにより相乗効果を図る


 対馬市では、2022年度に「ごみゼロアイランド対馬宣言」を行いました。その宣言の実行に向けて、「モノの循環」を意識して、「製造・生産」「利用・消費」「分別・回収」「廃棄・再利用」という循環の中で、それぞれの対策を考えていくことが有効です。このように、「環境保全と創造」に資する取組みは、横断的な視点で包括的に取組んでいくことが重要です。担当する部局を中心に、各課との連携を常に意識して、横断的な議論や情報共有、各施策や計画の整合や連動を進めることで、相乗効果による大きな成果を生み出すことが期待されます。


SDGsのモデル・アイランドのブランドの確立

 本計画を実行することによって、SDGsに資する対馬モデルの実践が積み上がり、それらを下に、地域や国境を超えた環境問題への解決策を国際社会に提言していきます。そのことで、対馬市はグローバルな社会の先進的な島として世界・日本全国から注目されます。


 モデル・アイランドと認識されれば、企業や大学との連携や誘致が加速し、交流人口の拡大や移住・定住者の増加にもつながり、結果として地域経済や人の島内循環が生まれ、対馬の経済の活性化や自然資本の向上にさらにつながっていきます。 



策定作業はなかなか骨の折れるものでしたが、一次環境基本計画や総合計画との整合も取れて、施策の中でも優先順位もつけられたので、行政職員にとっても参考にしやすい内容になったのではと思います。

計画は作ってからが勝負だと思いますので、MITとしては、引き続き、触媒・コーディーネーターとして、民間の力で行政を動かし、世界に誇れる対馬モデルを作っていけたらと思います。


最後に営業ですが、、、

計画策定を記念して、添付の通り、ポロシャツのデザインも考えてみました。

対馬の生態系ダイヤモンドをイメージしたデザインです。


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