【対馬の漁師のみなさん、アイゴ(バリ)の稚魚(スク)の魚群を見つけたら是非ご一報ください。】
弊社では、今年も対馬市水産課からの委託を受けて、磯焼けの食害生物の資源化について調査を進めています。
イスズミは丸徳水産の犬束さんの大活躍により、出口が見出され、次のステップは定置網や捕獲事業で獲ったイスズミを丸徳水産さんにいかに届けるかという島内流通の仕組みを作ることです。
一方で、定置網事業者さんへのヒアリングを進めていくと、今年6月から8月上旬にかけて、アイゴが大量に入網するところがありました。その量が桁違いで、一回入る量も1t、それが2週間続くとのこと。
この時期のアイゴは、サイズもまちまちで、身自体に脂がなく、真子が高値で売れるものの、食用としての利活用は大きいサイズを選抜して加工品(練り物)にする他方法が無いかと思っています。(なお、冬場のアイゴは脂がのっていてサイズもいいので、干物などで重宝されるそう。)
それだけ大量のアイゴがいるということは、海藻が食べられることによる磯焼けの影響も計り知れない状況と想像します。
温暖化により海水温の上昇がおき、南方系のアイゴやイスズミが対馬の冬を越せること(15度以上)で、海の生態系のバランスが崩れているという仮説は、もっともらしいように感じます。(磯焼けの原因は色々なことが複合的に効いているので、食害対策だけしていても、また違う問題も出てくる可能性もあるので注意が必要です。)
そんなバリですが、最近、防波堤から稚魚が群れていることに気づきました。網ですくったら、やはりアイゴの稚魚(スク)でした。
2年前に沖縄の市場調査に行ったのですが、沖縄では、スクは非常に高価なもので、泡盛に浸けて保存食(スクガラス)として人気があり、お土産や郷土料理の店で食べられます。
プランクトンを食べる生後数週間以内のスクは臭みもなく、刺身や天ぷらで食べられています。私も食べましたがうまいです。(稚魚でも一丁前に背鰭に毒があるから食べる方向に注意が必要。頭から食べて〜)
旬の魚として希少価値も高く市場での取引き kg1500〜3000 円に達します。(一回の漁で1t入れば、高い時で、300万円の現金をゲットできるわけです。)
沖縄のうみんちゅ(漁民)は、スクは自然からのボーナスだと考えているそうです。旧暦6月1日に、スクが群れをなして浜に接近するので、それを一網打尽で漁獲する文化があります。私も立ち会わせていただきました。超小型定置網を湾の中に設置していました。
対馬でも、これだけの成魚が定置に入るということは、対馬沿岸で産卵しているでしょうし、スクの群れが大群をなして岸に押し寄せるタイミングがあるのではと思っています。
それを一網打尽にできれば、市場価値があるスクを沖縄に売れるかもしれないし、有効な磯焼け対策にならないか。
ということで、長くなりましたが、対馬の漁師のみなさん、スクの群れを見つけたら是非ご一報ください。沖縄でいえば、7月の大潮の時期にあたる日が可能性があるかもしれません。
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